アゾ染料の規制について
今回は、数年前から頻繁に耳にするようになった『アゾ染料』について簡単に記載させていただきます。
個人の方には、どの程度、関係があるのかわからないのですが、
生地を染色する際に使用する染料の中に有害なものがあって、その有害な染料に対しての法規制がされるようになったということについての説明です。
アゾ染料自体は、市場に流通している染料の半分以上を占めている 一般的な染料です。
化学繊維を染色する分散染料の多くがアゾ染料です。
数多くあるアゾ染料の中には、皮膚の表面や腸内の細菌、肝臓などで分解され、発ガン性物質を生成する恐れがあるアゾ染料が24種類あります。
その発がん性物質は「特定芳香族アミン」と呼ばれています。
『特定芳香族アミン 職業がん』の語句で検索していただくと、様々な特定芳香族アミンに起因されていると思われる職業ガンについて詳しく説明されているサイトが多数ありますので、興味がある方は検索してみてください。
膀胱がんとの因果関係が証明されている一例としては、ベンジジンが知られています。
京都の友禅染め職人の方が、染料を含んだ絵筆を口に含む習慣があり膀胱がんになったことから、染料を調べたところベンジジンが検出され因果関係が認められたそうです。
今のところ、衣服の着用からがんを発症した実例は確認されていないとのことですが、注意をするに越したことはないと思います。
数年前から業界内での自主規制はありましたが、2016年4月から家庭用品規制法で規制されるようになりました。
2016年4月から、販売・授与・陳列をした家庭用品から『発がん性物質を生成する危険性があるアゾ染料』が検出された場合、違反者には1年以下の懲役または30万円以下の罰金に加えて、販売の禁止と対象品の回収が命じられます。
おしめ、おしめカバー/下着/寝衣/手袋/くつした/中衣/外衣/帽子/寝具/テーブル掛け/えり飾り/※床敷物/※ハンカチーフ/※タオル、バスマット及び関連製品
下着/手袋/中衣/外衣/帽子/※床敷物
です。
肌に直接触れることがあるアイテムを中心に規制対象になっています。
※が付いているアイテムは、子供が口に入れる可能性があるアイテムだそうです。
厚生労働省の報告資料を確認すると、
2009年1月~3月に、複数の小売店にて購入した86製品、総検体数は121検体を検査した結果が記載されています。
その時の製品の内訳は
ハンカチ・バンダナ/タオル/靴下/ランチョンマット/トランクス/Tシャツ/シーツ・カバー
が主だったようで、
生産国の内訳は
中国/インド/インドネシア/不明
でした。
東京吉岡TYFGでは、法規制の対象品に使用する生地の製造工場・プリント加工工場には
○特定芳香族アミンの検出量が基準値以下であることの検査
○『アゾ染料の不使用宣言書』の提出
の確認をしており、法規制の対象となる製品に有害なアゾ染料が使用されることがないように管理をしています。